今年の2月、戸建て住宅の内見に行ってきました。
現在は賃貸団地の3LDK(月7.5万円)に住んでいます。ずっとマンション暮らしで、将来子供ができたときのことを考えると、庭のある戸建てで育てたいという気持ちがずっとありました。スマホのアプリで物件を探し続け、ついに内見まで踏み切ったのですが——土地・建物合わせて5,100万円。夫婦二人とも年収420〜440万円ほどの共働き世帯(合計約860万円)から計算すると、ギリギリ手が届かないわけでもない金額でした。
それでも購入を断念した理由が、「金利上昇」です。
試しにシミュレーションをしてみたら、金利がたった1%上がるだけで総返済額が500万円以上変わることがわかりました。この数字を見て、「今は買い時ではない」と判断しました。
今回はその判断の背景にある金利の話と、変動金利で組んだ場合に知っておくべき「5年・125%ルール」の落とし穴、そして変動・固定どちらを選ぶべきかについて解説します。
目次
- なぜ今、住宅ローン金利が上がっているのか?
- メガバンクの変動金利がついに1%台へ
- 【シミュレーション】金利が上がると返済額はどう変わる?
- 変動金利 vs 固定金利、どちらを選ぶべきか?
- 知っておかないと怖い「5年ルール」と「125%ルール」
- 購入を断念した今、自分がやっていること
- まとめ
1. なぜ今、住宅ローン金利が上がっているのか?
「ずっと低金利だったのに、なぜ急に?」と疑問に思う方も多いでしょう。主な理由は大きく分けて3つあります。
① 日本銀行の「利上げ」による政策転換
最大の理由は、日本銀行がこれまでの大規模な金融緩和を終え、政策金利を引き上げたことです。2025年末から段階的に金利が引き上げられ、銀行が企業や個人にお金を貸す際の基準となる「短期プライムレート」がついに上昇しました。
変動金利はこの短期プライムレートに連動しているため、日銀が利上げをするたびに住宅ローンの変動金利も上がる仕組みになっています。逆に言えば、これまでの超低金利は日銀の「異次元緩和」という異例の政策があってこそ成り立っていたものでした。
② 物価高(インフレ)を抑えるため
世界的なエネルギー価格の高騰や円安の影響で、日本国内でも食品や電気代などの物価上昇が続いています。日銀は、過度なインフレを抑えるために「金利を上げる(お金を借りにくくして景気過熱を冷ます)」という舵取りを行っています。
③ 通貨防衛(円安対策)
他国(特にアメリカ)が高い金利を維持する中、日本だけが低金利だと円が売られてさらに円安が進んでしまいます。輸入コストを抑え、国民生活を守るための「円安阻止」も、利上げの重要な目的の一つです。
2. メガバンクの変動金利がついに1%台へ
こうした背景を受け、2026年4月、三井住友銀行やみずほ銀行などの主要行が基準金利を相次いで引き上げました(各行の最新金利は公式サイトでご確認ください)。
これまで0.3%〜0.5%程度だった優遇後の変動金利も、いよいよ1%の大台が見える水準になってきています。「まだ1%か」と思う方もいるかもしれませんが、問題は現在の水準よりも「これからどこまで上がるか」という見通しです。
市場では、2026年中にさらに0.25〜0.5%程度の追加利上げが行われる可能性も指摘されています。変動金利でローンを組む場合、この先の上昇リスクも含めて計算しておく必要があります。
3. 【シミュレーション】金利が上がると返済額はどう変わる?
実際に数字で見てみましょう。今回検討した物件は 5,100万円(フルローン・35年・元利均等返済) という条件でシミュレーションしています。
| 適用金利 | 月々の返済額 | 総返済額 | うち利息 |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 約13.2万円 | 約5,560万円 | 約460万円 |
| 1.0%(現在水準) | 約14.4万円 | 約6,047万円 | 約947万円 |
| 1.5% | 約15.6万円 | 約6,558万円 | 約1,458万円 |
| 2.0% | 約16.9万円 | 約7,096万円 | 約1,996万円 |
| 2.5% | 約18.2万円 | 約7,658万円 | 約2,558万円 |
※借入額5,100万円・返済期間35年・元利均等返済の概算。諸費用・団信等は含まず。
このシミュレーションを見て、私が感じたことは2つです。
「月々の差」よりも「総返済額の差」が怖い
金利0.5%と2.0%を比べると、月々の差は約3.7万円。「なんとかなるかも」と思いがちですが、総返済額では 約1,536万円 もの差になります。35年という長い期間の怖さがここにあります。
現在の家賃との比較
今の家賃は月7.5万円。金利1%でも月々14.4万円と 約2倍 になります。管理費・修繕積立・固定資産税なども加わることを考えると、世帯年収約860万円でも子育てや貯蓄の余裕はかなり薄くなる計算です。
4. 変動金利 vs 固定金利、どちらを選ぶべきか?
住宅ローンを検討するうえで避けて通れないのが、変動金利と固定金利の選択です。それぞれの特徴を整理しておきます。
| 変動金利 | 固定金利(全期間) | |
|---|---|---|
| 現在の金利水準 | 約0.5〜1.0%程度 | 約1.8〜2.5%程度 |
| 金利変動リスク | あり(半年ごとに見直し) | なし(契約時に確定) |
| 返済額の予測 | 難しい | 立てやすい |
| 向いている人 | 繰上返済できる余裕がある・収入が安定している | 返済計画を確実に立てたい・金利上昇が不安 |
変動金利のメリット・デメリット
変動金利は今の時点では固定より低いため、金利が上がらなければ総返済額を抑えられます。ただし、今回のように利上げ局面に入ると、5年・125%ルール(後述)の罠にはまるリスクがあります。収入に余裕があり、金利が上がったタイミングで繰上返済できる方向けです。
固定金利のメリット・デメリット
固定金利は契約時に金利が確定するため、返済計画が立てやすいのが最大のメリットです。現在の水準(約2%前後)は変動より高いですが、今後金利が2%を超えてくる局面になれば、固定を選んでいた方が有利になります。
結論:どちらが正解かは「その人の家計次第」
金利が今後どうなるかは誰にもわかりません。ただ、世帯年収に対して借入額がギリギリの場合は、返済額が固定されている安心感を取って固定金利を選ぶ判断も十分合理的です。私自身は、今の家計状況では変動・固定どちらでもリスクが高いと判断し、購入自体を先送りにしました。
5. 知っておかないと怖い「5年ルール」と「125%ルール」
すでに変動金利でローンを組んでいる方にとって、金利上昇で最も注意が必要なのがこの2つのルールです。
⚠️ 注意: 以下のルールは多くのメガバンク・地方銀行に適用されますが、一部のネット銀行などでは採用していない場合があります。契約内容を必ずご確認ください。
5年ルールとは?
金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額を据え置くというルールです。支払額が変わらないだけで、内訳は「元本」が減らずに「利息」ばかり払っている状態になります。つまり、手元のお金は出ていくのに、ローン残高はほとんど減っていないという状況が続くのです。
125%ルールとは?
5年後に返済額を見直す際、それまでの返済額の 1.25倍を上限 とするルールです。一見親切に見えますが、急激に金利が上がった場合、この上限に収まりきらない分が「未払利息」として積み上がっていきます。そして最終的にはローンの最終回(または借り換え・売却時)に一括請求されるリスクがあります。
具体的なイメージ
たとえば金利0.5%で月13万円の返済をしていた人が、金利が2%に上昇したとします。本来の返済額は月16.9万円になるべきところ、5年ルールで13万円のまま据え置かれます。さらに5年後の見直しでも125%ルールにより16.25万円が上限となり、差額が未払利息として残り続けます。気づいたときにはローン残高が元本より増えている、いわゆる「残高が減らない」状態になることもあります。
6. 購入を断念した今、自分がやっていること
5,100万円の物件のシミュレーションをしてみて、「今は買い時ではない」と判断しました。世帯年収約860万円あっても、金利上昇局面でギリギリの返済計画を組むのはリスクが大きすぎる——そう感じたからです。
その代わり、今はお金を稼ぐ・貯める手段を本格的に考え始めています。
1. 資産形成(新NISAの活用)
金利上昇時代は、借りるより増やすことを優先。新NISAを使った積立投資で、将来の頭金を厚くすることを目標にしています。頭金が増えれば借入額が減り、金利上昇の影響も小さくなります。
2. 支出の見直し
月7.5万円の家賃は今の家計では適正ラインですが、他の固定費を削って投資・貯蓄に回す余地がないか改めて洗い出し中です。
3. 収入を増やす手段を模索
副業・スキルアップなど、世帯年収そのものを上げることが、将来の選択肢を広げる一番の近道だと感じています。年収が上がれば、借入余力も増え、固定金利を選んでも家計が成り立つ状況を作れます。
まとめ:「今買わない」も立派な戦略、でも備えは今から
住宅購入は「買える=買うべき」ではありません。特に2026年以降の金利上昇局面では、返済計画に余裕がない状態での購入はリスクを伴います。
一方で、金利の動向は今後も変わり続けます。購入を見送った今だからこそ、頭金を増やし・家計を整え・収入を育てる時間として使えるかどうかが、数年後の選択肢の広さを決めると思っています。
内見まで行って断念するのは正直しんどかったです。でも「今の自分には早かった」と前向きに捉えて、次のチャンスに備えていくつもりです。金利上昇は不安ですが、正しく知って対策を打てば、大きな損は防げます。同じように悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
ブログ運営者のひとこと
住宅購入は人生最大の買い物と言われますが、「買わない選択」にも戦略が必要だと実感しました。焦らず、着実に。一緒に頑張りましょう!