国家資格を持ち、人の命と生活に直結する仕事をしているにもかかわらず、理学療法士の給料は「低い」と言われ続けています。なぜこの問題は解決されないのでしょうか。
理学療法士の平均年収はどのくらい?
厚生労働省の調査によると、理学療法士の平均年収は約420〜450万円程度とされています。一見すると悪くない数字に見えますが、実態はこうです。
- 日本の全職種の平均年収:約460万円(国税庁「民間給与実態統計調査」)
- 看護師の平均年収:約508万円
- 理学療法士の平均年収:約420〜450万円
同じ医療職の看護師と比べても約50〜80万円低く、特に20〜30代の若手PTは手取り月収20万円を下回るケースも珍しくありません。
なぜ理学療法士の給料は低いのか? 4つの構造的原因
原因① 診療報酬制度の壁
理学療法士が提供するリハビリテーションの報酬は、国が定める診療報酬によって上限が決められています。どれだけ質の高いリハビリを提供しても、施設が受け取れる報酬額には天井があります。
その結果、経営側がスタッフの給料を大幅に引き上げることが構造的に難しく、**「頑張っても収入に反映されにくい」**状況が生まれています。
原因② 供給過多による競争の激化
2000年代以降、理学療法士の養成校は急増しました。現在、全国の理学療法士数は約20万人以上に達しており、毎年1万人以上が新たに国家試験に合格しています。
需要を上回るペースで供給が増えたことで、労働市場での交渉力が弱まり、給与水準が上がりにくい構造になっています。
原因③ 夜勤・残業が少なく手当が付きにくい
看護師の収入が高い理由のひとつは夜勤手当や交代制手当です。一方、多くの理学療法士は日勤のみの勤務体系のため、こうした手当がつきにくく、ベースの給与がそのまま収入になりやすいという構造的な差があります。
原因④ 管理職ポストが少ない
病院や施設でリハビリ部門の管理職になれるポストは限られており、年功序列でキャリアアップしにくい職場も多くあります。経験を積んでも給与が頭打ちになるケースが多く、ベテランPTが燃え尽きる一因にもなっています。 また、徒手技術を上げても給料に反映されにくく、認定理学療法士をとっても資格手当などがつきにくい職場が目立ちます。
現場のリアル:若手PTの声
「4年制大学を出て、国家試験に合格して、初任給が手取り19万円でした。友人の一般企業勤めとの差に正直ショックでした」(20代・病院勤務PT)
「患者さんに感謝されることは多いし、仕事は好き。でも奨学金を返しながら生活するのはきつい。副業も考えています」(30代・老健勤務PT)
「10年働いてようやく年収450万。資格職でこれが現実かと思うと、後輩には勧めにくい部分もある」(30代・訪問リハPT)
「やりがい搾取」という問題
「患者さんの回復に立ち会える仕事だから」「感謝される仕事だから」——こうした言葉で低賃金が正当化される構図は、**「やりがい搾取」**と批判されることがあります。
特に、勉強することが善とされている傾向がある業界であり、協会や民間などのさまざまな資格がありますが、それを持っているからといって、患者さんをみた時給(単位数)の単価が上がるわけではないため、資格の手当などが上がりにくい現状です。 また、資格を取ったとしても、運営している協会の入会費や更新費などにお金や更新するために授業を受講するための手間も必要になってきます。 資格手当がついても(つかないところも多い)、別途お金がかかってしまうと意味がないような気がします。
先輩方が教えてくれる機会や場所はありますが全てが自己研鑽となり残業代などはつくことはありません。スキルアップにはつながると感じますが、それが直接給与アップに繋がらないのが現状です。
僕自身、手技で身体機能の向上を図る治療が大好きで、人間の奥深さを学んでいました。しかしそれでは給与アップにはつながりませんでした。
2026年の診療改正で、厚生労働省はエビデンスが低い治療を認めない方針となる様子です。例えば徒手スキルであるボバースやPNF、川平法や、長下肢装具を用いた歩行練習などはエビデンスグレードが低く、学んだとしても国が定めた基準に沿わないため病院経営側からしても給与を上げにくくなってきています。 標準的な評価・治療を求められることとなる。つまり、全員が同じようなリハビリができるようになる。そうなれば、大学院で勉強している人や積極的に研究や論文発表をしている人が評価されるようになり、徒手的に患者さんを治療しようとする人が虐げられていくのが目に見えてきます。
患者さんを徒手的に治すイメージが強く、色々な手技を学んできましたが、国はエビデンスの高い1年目からでも同じようにできるリハビリを求めていると思うと今までの努力が意味をなさない、その現状に落ち込んでいます。 ますます年功序列は進み、何も考えなくてもリハビリができてくる時代に近づいています。
改善に向けた動きはあるか?
診療報酬改定への期待は?
定期的に行われる診療報酬改定において、リハビリ報酬の引き上げを求める声は業界団体から継続的に上がっています。ただし、医療費全体の抑制方針のなかで大幅な改善は容易ではありません。 理学療法士だけではなく、医師や看護師、作業療法士、薬剤師などさまざまな医療職が、医療費の財源を奪い合っている中、理学療法士(リハ職)の給与が大幅に上がる未来は想像がつきにくいです。
専門資格による差別化
認定理学療法士・専門理学療法士などの上位資格を取得し、スペシャリストとして付加価値を高めることで、より給与が高い病院などに転職して収入アップを目指すPTも増えています。
独立・開業という選択肢
自費リハビリ施設や訪問マッサージ事業としての独立も選択肢のひとつ。保険制度の外で価値を提供することで、収入の上限を自ら設定できます。
まとめ
理学療法士の低所得は、個人の努力不足ではなく、診療報酬制度・供給過多・キャリアパスの限界という構造的な問題から生まれています。
「患者のために」という使命感もあり、仕事にやりがいも感じます。しかしその善意が、必ずしも適正な報酬につながるわけではないのが医療業界です。 理学療法士の給料は上がりにく現状は、当分変わりそうにありません。そのため、自分で稼ぐ力が必要になってきます。副業や転職、投資や企業色々な選択肢をこれから見ていかなくてはいけないと感じています。 まずは、僕自身このブログから始めてみようと思います
この記事は現場の実情と社会的背景をもとに構成しています。収入は勤務先・地域・経験年数により異なります。